NPO法人松本クラフト推進協会

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2016.07.26 CFM2016

クラフトフェアまつもと2016を終えて Ⅷ

作家からのおたより 

 

 

¦ 食 品 ¦23_古野仁

 古  野    仁
WANDERING KITCHEN JIN


今年のクラフトフェアは、わたしが WANDERING KITCHEN JIN として起業して ちょうど6周年の日。参加自体は4度目となります。

正直 最初の1、2年は何が起こっているのかわからないうちに終わってしまいましたが、今年は初めてフェアを開催中のあがたの森公園内を歩くことができました。
そして 普段あまり接点のない食品部門以外の方々と お話しする機会を持てたことで、改めて素晴らしいイベントに参加させてもらっているのだ ということを思い出すことができました。

我々食品部門の出展者は、単純にオリジナルの創作や手作りというというだけでなく、食品衛生法や消防法など法的な縛りを受けていますし、年々それらの規制は厳しくなっています。
極端な話、昨年普通にやっていたメニューが 今年は許されない、なんてことも起こり得るわけで、それぞれの出展者の方は勿論、フェアの実行委員の方も大変ご苦労されていることと思います。

そして わたしが毎年思うのは、世の中には多種多様な便利で安価な既製品が溢れているなか、どこまで手作りできるのか?するのか?ということ。
例えば、ラーメン屋さんが、丼から醤油、スープの鶏や豚の飼育、野菜の栽培等、0~10まで全てを自分の手で行うということは、現実的にほぼ無理だとは思いますが不可能ではない。
自家製麺といっても 小麦粉は買ったものでしょうし、手作りがウリのスープも動物系は炊いていても魚介系は出汁パックだったり。
明確な基準の無い「手作り」という言葉を、それぞれ出展者が自分自身の信念で線引きをし、法の縛りを受けながら販売しているメニューは、普通の飲食店営業の観点から見れば、ある意味無駄な手間やコストをかけた、いろいろな工夫と熟慮の後を窺うことが出来ます。

恥ずかしながら、わたし自身は 普段の営業では商売にかまけて妥協してしまってる部分も多々あり、ある意味 創業当初に思い描いていた理念とはかけ離れてしまっている部分もあるのですが。クラフトフェアの二日間と、それに費やす時間は、年に一度創作の喜び、創業時の理念を思い出させてくれる貴重な機会となっています。

もう一人の自分に見られて恥ずかしくない、安心して家族に食べさせられる料理

原点回帰です。

 

WANDERING KITCHEN JIN
古野 仁

 

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