NPO法人松本クラフト推進協会

新着情報information

2016.07.01 CFM2016

クラフトフェアまつもと2016を終えて Ⅰ

作家からのおたより 1

 

 

¦ 金 属 ¦04_柴田望

柴 田  望
HOPE METAL CRAFT


ゴールデンウィークに名古屋の百貨店催事に参加したあと、後半はクラフトフェアまつもとへ、、、
ここ数年、そんな流れで5月のスケジュールを過ごしています。

あがたの森公園の芝生で、空の下で、振り返るように時を過ごす。

ゴールデンウィークの催事は、毎年企画者がテーマを提案していて、僕たち参加作家はそれぞれに
それぞれの解釈をして催事に挑む。
今年のテーマは『これからの10年のために』。

クリエーター、クラフトマン、アーティスト、、、呼び名はいろいろだけれど、個人でモノヅクリ
をする作家の多くは、いままでの10年、販売の場所を求めて各地をまわってきた。
一方で地域やコミュニティは、それぞれの場の価値を見いだすためにヒトを募ってきたのだろう。
そして今まで「遊牧民化」してきた作家達が、これからの10年、「居場所」を求めて活動して
いく。
そういう未来予想と希望のもと開催した催事でした。

そのテーマの余韻を抱いて参加した今年のクラフトフェア。
あわただしくもゆるりとした時のなかで、改めて「居場所」について思いにふけっていました。

僕にとってのクラフトフェアは、リテラシーの高い来場者を誇るビッグイベントで、
作家として審査を通り参加することでステータスを得られる場所でもある。
望むなら、「物」の展示方法や品揃え次第で多くの売り上げも得られるかもしれない。
遠方から参加する労力と、得られる利益や楽しさを天秤にかけ申し込む、、そういう場。

けれど、クラフトフェアの運営に関わったり  ここを「居場所」と感じるヒトビトにとっては、
僕がそういう利益を求めて参加する場とはまた違う『クラフトフェア』が そこにはあって、
あがたの森公園に集うということが、すごくシンプルに、ほかに代えの効かない大切な「居場所」
なのかもしれない。

長年開催してイベントが大きくなるごとに ますますフェアの価値は高まり、
それとともに選考や駐車場や参加作家の場所取りとかマナーに対する課題も抱えて、
開催側は悩み作家側は賛否両論を言ってきた面もあるんだと思う。
それはそれで、それぞれがポジティブな方向へ向かうためには必要な、議論。
そう思うけれど、でも。。

今年、クラフトフェアが終わった翌朝に、
あの人混みもテントも作品も、なーんにもなくなった公園を少し歩いてみた。
池には亀や魚がいて、休憩所の屋根には鳥が集まっていて、山が見えて穏やかな風が吹いていて。
そして、フェアスタッフの人達がいて、もくもくと最後の後片付けをしていた。

ああ、そうか。僕らは貸してもらっていたんだ。
ここだけじゃない。いつもそう。
だれかにとっての大切な「居場所」を、このときだけ貸してもらって、そしてかえっていく。

ありがとう。大切なモノを貸してくれて。

作家はなにを持ってきて、なにを持ってかえるんだろう?
僕もモノヅクリとして、これから自分の「居場所」を求めて生きていくなら、そこになにかを
持ちかえるなら、、

持っていくモノも持ってかえるモノも、天秤にかけた「物」だけではなくて、お互いの大切な
「モノ」でありたい。

金属造形作家 柴田 望

 

IMG_5142 IMG_5141 IMG_5288 IMG_4823

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・