NPO法人松本クラフト推進協会

【特集】クラフト作家のご紹介Featured craftsmen

2016.04.04 陶芸

吉川仁さん

活動拠点京都市
吉川仁さん 吉川仁さん

Q:吉川さんが陶芸というお仕事を選ぶきっかけになったことを教えてください。

父親が日本画を描いておりまして、幼い頃から絵を描いたり一緒に写生に行ったり・・・。そんなんが普通に生活のなかにありまして。で、進路どうしようかなと思った時、違和感なく「美大目指そう」ってなったんですね。家から通える所に陶芸を専攻できる学校がありまして、なんとなくそこを選びました。

でも実際に大学入ってみたら授業ではオブジェだとか現代アート的な物だとかをメインに取り入れていて、思ってた陶芸と「なんかちゃうなー」ってピンとこなかったんですよ。で、大学一年の時にたまたま清水卯一先生の展覧会を見る機会があって、初めて、「ああ!こんな陶芸もあるんやっ!」って衝撃を受けたんですね。それまでは所謂白い磁器でできたどこにでもありそうなお茶碗みたいのが器だと思ってたんですよ。学校の授業はオブジェなんでまた違う路線でしょ?そんな中で清水先生の作品に出会って今まで自分の見た事のない陶芸の世界がバっと広がりましたね。

あと、轆轤を専攻できたってのも大きかったですね。なんてゆうか、自分の手の中から、こう、下手くそでもちょっと触ると「ぴゅぴゅっ」とお茶碗であったり、お湯のみであったりちっちゃい器が生み出されていくのがすごく楽しくて、そこで作ってる感覚が初めて感じ取れまして、陶芸がぐっと身近になったというか・・・。

もちろん釉薬も面白いんですけど轆轤だけでも面白い仕事ができるんだなって。それで、陶芸で頑張ってみようかと。それに器ってどこの家庭にもあるし生活の一部でしょ(笑)だから売りやすいかなぁと(笑)そんなんがこの仕事選んだきっかけですね。

Q:吉川さんがクラフトフェアまつもとに応募された理由はなんですか?

個展やっているとお客さんに「これは何焼きですか?」って聞かれる事が多いんですよ。僕の焼き物って、なんていうのかな、色んな地域の焼き物を自分なりに解釈して作ってて・・・。

で、まあ京都で作ってるんで「京焼きです」ってお答えしてるんですけど・・・。でも普通京焼きって言ったら皆さん絵をイメージしはると思うんですけど、僕のはそれともちゃうし。産地でカテゴライズしようとすると、消化不良みたいな説明しか出来ないんですけど、松本では、産地の垣根というのがあまりないので、何焼きであるとかっていうのは本質じゃないというか・・・。クラフトフェアを見に来た時にそれが面白いな、と思ったのがきっかけですね。

あとまぁ、いままで2回程参加させてもらって思ったんですけど・・・。あがたの森公園ですか?あそこの夕方の風、あれが最高に気持ちが良くて、あれを感じるだけでも参加する意味あんなぁって思ってるんですよ(笑)すごい気持ちの良い公園だなって。

高温多湿な京都に住んでたらあんな風を感じる事は一年にそうは無いと思うんで(笑)芝生でごろごろしたいなと思いながら片付けしてますもん(笑)

Q:10年後のご自身の展望について伺いたいと思います。

10年後も元気に陶芸を続けるっていうのが・・・、とにかくそれが一番です(笑)あとは、焼き物の世界にも所謂常識とか固定観念みたいなものがあるんですけど、例えばこの焼き物はこの窯で焼くみたいな。

でも最近、そういう常識に囚われるんではなくてもっと柔軟にいろいろな焼き方もできるんだって知りまして、そういう点でいろいろな事に挑戦する10年にしたいと思いますね。遊びながらっていうか、もちろん生活していかなきゃいけないんで頑張りますけど、同時に楽しむというか、遊び心を忘れずに、楽しみながらっていう姿勢は、いい作品に欠かせない要素やと思っているので。20~30代で経験した事・感じた事を掘り下げてゆく作業をしていきたい。使い勝手の良い器よりも使い手の「使いたい欲」をかき立てるような器を作っていきたいです。

Profile

吉川仁さん 吉川仁さん

吉川仁

活動拠点京都市
京都市内の工房と南山城村の登窯を拠点に花器、酒器、食器等、日用のうつわを制作している。

略歴

1978年 京都市に生まれる
2001年 京都精華大学芸術学部 卒業
2001年 京都府相楽郡南山城村に登窯を構える